わたくし、

自分を資本と考えるようになったのは、

近づくライブのチラシで初めてこのショットを使った、

五年前。

匿名性の中に埋もれているのを好んでいた

ぼくにしてみれば、

コペルニクス的転回だった。

不思議はその後に起こった。

以来、「わたくし」はぼくを離れてしまった気がして、

胸、がらんどう。

匿名性の中にあれほど横溢していた、

そんなわたくしが、

ぼくのもとを離れた。

だからぼくはときどき、

わたくしを探しに行かなくちゃならない。

胸、がらんどう。

めまいのする散歩